異国の王子様
さっきも言ったとおり、あたしは
家がかなり遠い。
練習が終わるのは8時だから
二時間近くかかるため
最寄りの駅についたのはその日も
9時半を回ったとこだった。
駐輪場に停めてある自転車を取りに行こうと
そちらに歩みを向ける。
しかしなんだか今日は明らかに
悪な感じの人が多い。
金髪とかピンクとか
いつもはいないような人がウロウロしている。
「怖いな…。」
誰かに電話しようかと思い携帯を手にとる。
ちょうどその時携帯が震えた。
だいぶなれたスマホを操作し開けば
部員であり、3年生が引退したことで
最近キャプテンになった拓哉からだった。
『家ついた( ̄▽ ̄)?』
顔文字付きなのが拓哉らしくてなんだか笑が出る。
拓哉はあたしの1つ前の駅で、
一番家の近い仲間。
だからなのかなんなのか、
一番仲もいいし、拓哉といると落ち着く。
家についたら返信しようと携帯を
鞄に戻し、トコトコと歩みを進めた時。
チラリと見えたんだ。
血だらけの狼が。