異国の王子様
横たわっていたのは血だらけの狼。
銀髪に所々メッシュの入れた髪は
サラサラと夏の夜風になびき、
苦しそうに口で息するその狼の横には
吐いたのだろうか、たくさんの血。
シャツにこびりついているのもたくさんの血。
こんなにも汚れているのに、
汚いのに。
なのにどうしてこんなに美しく見えるのだろうか。
まるでこの世のものでないような
それこそ犬神とでも言えるような
どこか神々しいその狼に
あたしは目を奪われた。