異国の王子様
が、ぼーっとしてられない。
予想以上の怪我に戸惑った。
だっていくらマネージャーでも
こんな大怪我の人の手当なんてしたことないもの。
とりあえず、ぐしゃりとうずくまっているのを
回復体位の状態にしようと
「大丈夫ですか?」なんて
大丈夫なわけねぇだろ!っていわれても
仕方ない人に向かって言いながら近づいた。
が、
「うぉ!?」
「てめぇ、誰だ。」
女の子とは思えないものすごい声が出たあとに
地をはうような低い声が響いた。
そしてあたしはどうやったらそんなに
動ける体力があったのか、
手を縛り上げられ、押し倒されていた。
「誰だ。」
ものすごい殺気。
ギラギラとした瞳は本当に狼のよう。
「み、…………ずき。」
びびりまくったあたしの口から零れた言葉は
なんとも情けないことに自分の名前。
そんなこと聞いてないのは百も承知だったが
その時はどうしょうもなかった。