☃桜舞う頃 夢見頃☃
「いやー…それにしてもこの1年、早かったねぇ」
「長かったの間違いじゃなくて?」
他愛のないことで盛り上がりながら
校舎を出ようとしたその時
「あ、いいところに…」
背後から声がかかった。
振り返ると、頭の禿げた少し猫背のおじいさん。
「司書さんだーやっほー」
ミヤが手を振ると
「少し手伝って欲しいんだけど、いいかい?」
手を振り返して、そう尋ねてくる。
「嫌な予感…」
裕灼が肩をすくめる。
「どうなさったのですか?伊藤さん」
と、紳士的に笑むのは和匡。
「新学期だから学級文庫をね、
入れ替えようと思って…」
「それをお手伝いすればいいんですね、
わかりました、うちのカズマサがやりますよ」
裕灼が横から割り込んで、和匡の肩を押す。
「よ・ろ・し・く、カズマサくん」
「いや、ここは普通に僕ら3人でしょ」
翔が嫌々と首を振る裕灼の首猫っこを掴んで
司書の中村に頭を下げる。
「喜んでお手伝いさせていただきます」