☃桜舞う頃 夢見頃☃



「いや、まだだよ」



和匡が落ち着きを取り戻して否定する。



「え?お前ら、一目惚れだなんだっていって
会ってすぐ付き合ったんじゃなかった?」



裕灼が、だよな? と翔にふり、
翔はこくん、と頷いた。



「それはそうだけど、ほら、ミヤビは…」



「ふぃーーーーーー!ほかいま!」
(*ほかいま→ほかほか(=お風呂)からただいま)


美弥渼達が帰ってきて
和匡はピタリと口を閉じた。



「盛り上がってたな」



そんな和匡にちらりと視線をやりながら
裕灼は渢香の腕を引く。



「ミヤがシャンプー流さないで
お風呂に入って来ちゃったのよ」



おじさん口調の抜けた渢香が説明する。



「まじか」



ちょっと目を見開いてからふっと笑う裕灼に
それまで大人しく引きよせられていた渢香が


「で?何?」


冷たく尋ねる。



「いやー充電?」



ガッッ


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