カラ恋
抱きしめられていて近いのをいいことに、その香りをすぅっと吸い込んでみる。

あ、竹島くんだ……。

竹島くんらしい、優しくて安心するような…そんな香りがする。

思わずきゅっと服の裾を握りしめると、竹島くんが身じろぎをする。

なんだろうと見上げると、竹島くんが私をすごく優しく見つめてくるから、それが嬉しくて笑ってしまった。

すると

「……ふっ。かわいい」

なんて竹島くんが言うから

「ふぇっ!?」

ぼっと顔が熱くなる。

「真っ赤。りんごみたい」

おかしそうに口元を手で隠して笑う竹島くん。

こっちはすごく恥ずかしいのに…っ!

「た、竹島くんっ!」

「ん?何?」

「うぅ…」

そ、そんな意地悪そうな笑顔浮かべないで!
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