カラ恋
彼女は景色のことを言ったんだろうか。

分からなくていい。

彼女の後ろ姿さえ、こんなに愛しいと感じる俺の気持ちは。

伝える気なんてなかった。

だけど──







俺の腕のなかで、ふにゃりと笑う彼女。

泣いている彼女を見た瞬間、そんな考えなんて吹っ飛ぶなんてこと。

あのときの俺はまったく思ってなかった。

手に入れたい。

だけど、彼女を困らせるかもしれない。

そうとばかり思っていた俺。

まぁでも──

「……ふっ。かわいい」

彼女が俺のものになるなら、それも悪くはないかな。

この子は気づいているだろうか。

少しでも近づきたくて、この子の席に座って、この子がいつも見ているであろう景色を俺がノートに描いていた、なんてこと。

俺が綺麗だと言ったのは、あんたのことなんだってこと──







おまけ  竹島くんの恋模様

──end
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