カラ恋
「隠したってもう遅いよ。
ねぇ、なんで泣いてるの?」

先ほどと同じ質問を繰り返され、私は戸惑いつつも、ふるふると首を横に振る。

知られるわけにはいかない。私の気持ちなんて。

そんなことを考えているうちに、竹島くんは、めくられたノートに気づいたらしい。

「……見たんだ。このノート」

「……っ!ごめ、なさ…っ」

「いいんだよ、別に。だけど、この絵だけは見られたくなかったかな」

彼のいう“この絵”は、きっとあの女の子の絵のこと。

それほどに見られたくなかったものなんだ。

私は……それを見てしまったんだ。

「ごめんなさ…っ!ごめん、なさい……」

謝っても許されないだろうけど、それでも謝ることしかできない。

人の気持ちというのはすごく大切で。

それを気安く見てしまうなんて、私はなんてことをしてしまったんだろう。
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