絶対に好きじゃナイ!
そう言った社長に続いてわたしも慌てて頭を下げた。
だけど夫人はふにゃりと笑って許してくれて、少し話した感じからしても"社長夫人"っていう響きから思ったより親しみやすい人だった。
おかげではじめは緊張したんだけど、ちゃんと資料を受け渡していつも通りにきちんと話もすることができた。
隣でときどき社長がサポートしてくれて、これまでの話をよく知らない夫人にもしっかり理解してもらえたと思う。
「とってもオシャレな建物になりそうですね。楽しみだなあ」
昨日はどうなることかと思ったけど、そう言って笑ってくれた夫人に心底安心する。
「夫には、わたしからちゃんと伝えておきますね」
「はい、よろしくお願いします!」
どんなに気まずい状態でも、やっぱり社長が隣にいてくれるのは心強かったし。
それに、夫人も話しやすくてとっても素敵な人だった。
わたしはふぅっと肩の力を抜いた。
とにかく、無事に終わってよかった。
あとはsoirの社長さんからOKをもらって建設にまわすだけ。
人気ブランドであるsoirの新店舗を、本当にうちがデザインするんだ……!