絶対に好きじゃナイ!
「椎名、はやく来い」
「あ、はい!」
呼ばれて前を見るともう既にエレベーターか来ていて、社長がドアを押さえたまま待っていてくれた。
小走りでエレベーターに乗り込んで、斎藤さんと社長も続いて乗ってくる。
「……おい、うちの社員に変なちょっかいかけてねえだろうな」
「まさか。そんなに威嚇しなくても、少しお話をしていただけですよ」
「そうですよ! ちょっと社長のお話を聞いただけなんですから、やめてください」
「あ? 俺の話?」
社長にじろりと睨まれてわたしはビクッと震え上がった。
な、なんか今日は、一段と不機嫌オーラがでてる気がするんだけど……
いつもより目つきも悪くて不良がバレそうですよっ!
心の中で反抗しても当然言葉になんてならなくて、もごもごと口の中で言い訳をする。
そんなわたしたちを見て夫人がくすくすと笑って、4人を乗せたエレベーターはきちんと1階におりてきた。
「車まわすからちょっと待ってろ」
そう言った社長が駐車場に向かって行く。
取り残されたわたしに、夫人が大きな目をきらきらさせて話しかけてくれた。