絶対に好きじゃナイ!

「椎名、はやく来い」

「あ、はい!」


呼ばれて前を見るともう既にエレベーターか来ていて、社長がドアを押さえたまま待っていてくれた。

小走りでエレベーターに乗り込んで、斎藤さんと社長も続いて乗ってくる。


「……おい、うちの社員に変なちょっかいかけてねえだろうな」

「まさか。そんなに威嚇しなくても、少しお話をしていただけですよ」

「そうですよ! ちょっと社長のお話を聞いただけなんですから、やめてください」

「あ? 俺の話?」


社長にじろりと睨まれてわたしはビクッと震え上がった。


な、なんか今日は、一段と不機嫌オーラがでてる気がするんだけど……
いつもより目つきも悪くて不良がバレそうですよっ!


心の中で反抗しても当然言葉になんてならなくて、もごもごと口の中で言い訳をする。

そんなわたしたちを見て夫人がくすくすと笑って、4人を乗せたエレベーターはきちんと1階におりてきた。


「車まわすからちょっと待ってろ」


そう言った社長が駐車場に向かって行く。

取り残されたわたしに、夫人が大きな目をきらきらさせて話しかけてくれた。
< 117 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop