絶対に好きじゃナイ!
要さんの連絡先とか聞いてみる?
いやいや、そんなの絶対怪しまれる。
お前があいつに何の用だとか、そんなに大事な用事なら今ここで俺が伝えてやるとか。
社長なら絶対言う。
じゃあなんだろう。
ごはんに誘うとか?
うーん、それも変。昨日の今日でさすがに気まずいし。
それなら、サラッとあいさつして帰る?
気まずさが薄れるまで黙ってたほうがいいのかな。
うーん、でもそれで完全にタイミングを失うのも困るんだけどな……
事務所に残ってるのが、社長とは限らないのに。
わたしはエレベーターの中でああでもないこうでもないと、いろいろと策略をめぐらせる。
だけど結局いい方法は思いつかなくて、すぐに事務所のある階に到着してとうとうオフィスへ続くドアの前まで来てしまった。
「あれ、話し声が聞こえる……」
社長の声だけど。
なんだ、事務所に残ってるのは社長ひとりじゃないんだ……
ちょっとだけほっとして目の前のドアを少し押し開けたとき、聞こえてきた社長の言葉にわたしの身体は完全に停止した。