絶対に好きじゃナイ!

「か、要さん……?」

『ははは、せいかーい』


電話の向こうの要さんはいつも通り呑気な声で笑ってるけど。


でも、ウソだよね……?

そりゃ社長と要さんがなんだかんだ仲良しなのは知ってるけど、でも、まさか……



「おい、お前絶対変な誤解してるだろ?」

「へ?」


わたしの頭の中にもやもやと浮かんだピンク色の想像。

見つめ合う社長と要さんの想像を、社長が不機嫌そうな声で切り裂いた。


「ったく、どいつもこいつも……」


社長はぶつぶつと不満そうに呟きながら、要さんと通話中になったままの携帯を側にあったデスクに置いた。

電話の向こうで要さんがなにか言ってるのが聞こえる。



「わかったよ、俺が悪かった。はっきり言わなかった俺が悪い」


要にも散々言われたしもう認めるって。

そう言いながら両腕を伸ばして、優しくわたしを囲った。


たった一日、少し遠くに感じていただけなのに。

そうされただけでなんだか懐かしくて、わたしはもう二度とこの腕の中から出たくないなあなんて思った。
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