絶対に好きじゃナイ!
「好きだ、梨子。今も昔も、俺はずっとお前だけを見てる」
薄茶色の瞳にまっすぐに見つめられて、わたしの心臓は一発で撃ち抜かれた。
す、き……?
今、好きだって言った?
社長がわたしを?
ぽかーんと口を開けて見上げるわたしに、社長が呆れたような顔を見せる。
「お前ってやっぱ、ちょっと鈍感なとこあるよな。俺、かなりわかりやすいと思うんだが」
そんなとこも堪らなく可愛いって。
突然スイッチの入ったように甘ったるさを取り戻した社長が、鼻先に小さくキスをする。
「え? で、でも……」
「でも、なんだ? 文句があるなら今のうちに言えよ」
そう言いながら、わたしの頭をなでたり髪にキスを落としたり。
わたしの頭は真っ白になったけど、何故か社長の言葉はとっても素直に心に届いて、文句なんて捻り出してもでてこなかった。
それから社長はこつんとおでこを合わせてすぐそばでわたしを見つめる。