絶対に好きじゃナイ!
間近で見る薄茶色の瞳には、わたししか映っていない。
だから、社長の言葉がじわじわと心に染み込んでわたしはぼんっと頬が熱くなったのを感じる。
社長が、好きだって。
わたしを見て、好きだって言ってくれてるんだ……
「昨日、部屋に戻ったらいなくなってたから。やっぱお前にとって俺はそういう対象じゃなくて、さすがに怖がらせたかと思って」
「そ、そんな……!」
わたしは驚いて首をぶんぶんと横に振る。
対象じゃないなんて、そんなことあるわけないのに。
だけど社長もわたしと同じようなことで悩んでたんだってわかって、なんだか不思議な気持ち。
「それならしばらく距離を置くしかないと思ってたんだが、あいつが変な気まわして電話寄越すから……」
そう言って不満そうにちらりと携帯を見た社長は、よく見たらただ照れてるだけなのかもしれない。
「文句がねえなら、たった今から俺の女だって思うけど」
それでいいのかって念を押されて、わたしは真っ赤になりながらコクリと頷いた。