絶対に好きじゃナイ!

「梨子は?」

「へ?」

「さっき、俺のこと好きだって言ったよな?」

「え!」


ヤバい、わたしそんなこと言ったっけ?

必死すぎてあんまり覚えてないけど、もしかしてそんなこと口走ったかもしれない!

ああ、もう! わたしのバカ!


「もう一回、ちゃんと聞かせて」


にこにこ嬉しそうに見つめられて、その熱にほだされたわたしは抵抗すらできない。

ああ、もうダメだ。
わたし、この人には完敗かもしれないーー



「す、す……、す、……す」

「す?」


見上げると、社長が期待のこもった目で優しくわたしを見つめていた。

わたしを迎えに来てくれた社長。

そして、小さなわたしにたくさんのきらきらした思い出をくれた虎鉄。


わたし、この人のことが、ほんとはずっとずっとーー
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