絶対に好きじゃナイ!
熱く揺れるその瞳も、忙しなく動く指先も、微かに感じるはやい鼓動も、その全部が。
熱心にわたしをいたぶって楽しんでるとしか思えないのに。
「梨子、わるい。もう限界……」
くたくたになるまで甘やかされて、骨という骨を全て抜かれた。
ふにゃふにゃになったわたしは、獲物にとどめを刺そうとのしかかる大きな虎を涙目で見上げる。
食べないでって、最後の命乞いをするチャンスなのに。
力の抜けた身体は抵抗なんてしようともしない。
食べられるのを、待ってるの。
「呼んで」
甘く催促されて、耳たぶをかぷりと食べられる。
ぶるりと震えたわたしは、ゆっくりと両腕をその背中にまわしてぎゅっとしがみついた。
「虎鉄」
宙に浮いた言葉は彼の唇に飲み込まれて、そのままわたしの唇に触れて溶けだした。
深くなるキスになにも考えられなくなって、わたしはうっとりと目を閉じる。
ふわふわ浮いてるんじゃないかとすら思ったとき、わたしの身体は甘い痛みに貫かれていたーー