絶対に好きじゃナイ!
「なんだよ。もしかして、よくなかったか?」
甘い名残りをとどめたベッドの上で、腕枕をされるわたし。
何度降参しても許してもらえなくて、くたくたな身体は優しく抱きしめられている。
わたしの髪をなでる社長が、ふくれっ面のわたしを見てちょっと不安気に言った。
「わるい、なるべく抑えたつもりだったんだが……」
「……ったですよ」
「ん?」
「よかったですよ! だから怒ってるんです!」
ぷいっと背中を向けたわたしに、後ろで社長が困惑したような声をあげた。
こういうことをしたのははじめてだけど、社長がどれだけ優しくしてくれたかはわかる。
終わった後もこんなふうに腕枕をしてわたしの息が整うまで甘く宥めてくれるところまで、もう完璧だってことも。
「……梨子?」
柄にもなくなんだか不安気な社長が、後ろから腕をまわして優しくわたしを包み込んだ。