絶対に好きじゃナイ!

「だって、だって……」


うしろから頭のてっぺんに柔らかくキスを落とされて、優しく先を促されてるんだってわかった。


……えぇーい!
もう、こんだけ恥ずかしいことしちゃったんだから言っちゃいなさい、梨子!



「わ、わたしはこれがはじめてなのに、虎鉄は……、もっと、いろんな女の子を知ってて。こんなに優しく……、その、他の子のこと……」


言いながら頬にどんどん熱が集まってくるのがわかる。
耳まで真っ赤になってるかも。

わたしは耐えられなくなって、布団を引っ張り上げると頭までもぐって小さくなった。


だけどここまで言ったんだから、ちゃんと最後まで言おう。



「……もう、他の人にはしないで……」



布団の中でくぐもった小さな声で、なんとかその言葉を口にした。



わたしは、あなたしか知らないから。
過去を塗り替えることはできなくても、たった今からこの先ずっと。

その腕に抱くのは、わたしだけだって言って欲しいよ。
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