絶対に好きじゃナイ!
社長の反応が怖くてぷるぷる震えていると、ガバッと勢いよく布団を剥がされる。
そのままくるりと身体の向きを変えられて、社長の両腕にぎゅうっと抱きしめられた。
社長の裸の胸に頬を押し付けられて、伝わる鼓動に体温が上がる。
ああ、ダメだ。
やっぱりわたしの心臓、このままだといつか破裂しちゃうと思うーー
「……お前な、あんま可愛いこと言ってっともう一回食うぞ」
強く抱きしめられて表情は見えないけど、それはなんだか困ったような声だった。
「次に言ったら本気でめちゃくちゃにしてやる」
そう言ってさっきまで自分で綺麗にすいていたわたしの髪をくしゃくしゃに乱すと、少し身体を離して顔を上げさせる。
絶対真っ赤だからイヤっていうわたしの抵抗は、完全に無視。
そして薄茶色の瞳にまっすぐにわたしだけを映して、少しだけ照れくさそうに宣言した。
「その、昔のことはだな。男の事情ってもんがあるから許せ」