絶対に好きじゃナイ!

『まあ、許してやってよ。あいつ、梨子ちゃんのこと好きで堪んないんだよ』


要さんにそう言われると、なんだかものすごく照れる。

ソファの上でうつ伏せになったまま、恥ずかしくてばたばたと身悶えていた。
ヤバいヤバい、今絶対耳まで真っ赤になってると思う……

恥ずかしすぎて涙目なのがわかって、うつ伏せのままふと顔を上げたとき。


「ふぎゃっ!」

「誰のためにそんな可愛い顔してんだ?」


わたしの背中にぴったりと重なるように甘くのしかかって来た人。

もちろん全体重をかけないように調整されてるのはわかるんだけど、背中に感じる絶妙な重みが胸の奥をきゅんと疼かせる。


そしてわたしの右手ごと自分の携帯を取り上げると、相手を確認して呆れたような声を出した。


「なんだ、要じゃねえか。こんなやつにそんな顔くれてやるな。もったいねえだろ」

『ねえ、俺の扱い雑すぎじゃない?』


電話の向こうから要さんの声がもれて聞こえてくる。

くれてやるもなにも、今わたしの顔を見れるのは社長しかいないのに。
それでもうちの社長は何かが気に食わないらしい。
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