絶対に好きじゃナイ!
『もっと敬ってよね。誰のおかげで君たちまとまったと思ってるの?』
「うるせえな。うちの梨子にちょっかい出すなよ」
『はいはい、お宅の可愛い梨子ちゃんね』
「それで、何の用だ?」
社長はわたしの背中に覆いかぶさったまま、なにやら要さんと会話をはじめてしまった。
背中に感じる社長の鼓動のリズム。
わたしの鼓動とか、呼吸とか。
こんなにぴったりくっついてたら伝わっちゃうんだろうなって思ってたら、息の仕方すら忘れちゃう。
「んっ……!」
ぐっと息を潜めていたら、むきだしのうなじにキスがふってきた。
「その声、やつに聞かすな」
右手で要さんとの電話を繋げたまま、左手でうしろから優しくわたしの口を塞ぐ。
首筋や、背中や、肩に。
たくさんのキスを降らせて、ときどき思いたったようにうなじを熱い舌が駆け上がる。
要さんの話に適当に相づちを打ちながら、自分の身体の下にわたしをすっぽりと収めていたぶる。
堪えきれない声が社長の指の隙間からもれそうになると、叱るように耳を甘く齧られた。
もう、だったら電話中にこんなことしないでよねーーー!
そう言いたかったけど、背後からの甘い攻撃に気は抜けないし、要さんに何かを勘付かれるのも避けたい。