絶対に好きじゃナイ!

「わ、わたしのはじめては全部社長がもっていったじゃないですか!」


わたしたちの立場はコロコロと入れ替わって、今度はわたしが視線を彷徨わせながらもごもごと言い訳をした。


あーあ、もう……
慣れないことはするもんじゃないな。

社長が黙っちゃうからわたしまでどんどん照れちゃうんだもん!


「い、一応、"はじめて恋した男の人"のポジションもあるんですけど、いらないですか……?」


そう言って恐る恐る見上げたわたしを、社長が力強くぎゅーっと抱きしめた。

息が止まりそうなくらい。

緊張しちゃってどんどん恥ずかしくなって、さっきから少しはやく感じていた社長の鼓動に、わたしの鼓動が追いついて重なった。



「……いるに決まってんだろ」

「んっ!」


そう言って突然噛みつくようなキスをはじめた社長は、もうすっかりいつも通りの社長。

そしてわたしもいつも通り、ソファの上でくたくたになるまで離してもらえなかった。





わたしと社長の恋愛闘争において、わたし史上最大の反撃だったと思うのに。

さらりとかわされて更にはカウンターまでお見舞いされて、全くこの人はほんとに手強い恋人なんですーー





period2:欲張りな虎

(……ヤバい、今のめちゃくちゃ強烈)
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