絶対に好きじゃナイ!
そしてあの社長、様々な攻防の末に最近わたしの恋人になった人でもある。
8歳年上の彼は、ふたりきりになるとお仕事中の厳しさがウソみたいに全力でわたしを甘やかしにかかる。
そんな過保護気味な社長に内緒で合コンに参加するのは、なにかとまずいことだらけな気がするんだけど……
「でも、断れないよ!」
いつもわたしのために合コンをセッティングしてくれた友だち。
それなのに、彼氏ができたからもう用はないって無下にするなんて絶対できない!
わたしに彼氏がいるのも知ってて、"いてくれるだけでいい"とまで言われたら、それはもう行くしかないというか……
「社長、ごめんなさい」
オフィスの中にいる彼に小さく謝って、合コン会場に行くためにわたしはそそくさと会社をあとにした。
少し遅れて会場になってるレストランに着くと、みんなはもうだいぶ盛り上がっていて少しホッとした。
これなら、ちょっとはやめに帰っても大丈夫そうだと思う。
「梨子! 無理言ってほんとにごめんね、ありがとう」
席についてすぐに、電話をかけてきた友だちが小さな声で申し訳なさそうに言った。
「ううん、わたしいつも呼んでもらってるだけだったし」