絶対に好きじゃナイ!

「いつも社長にいろいろしてもらってばっかりだから。誕生日くらいは、わたしががんばろうって思ったのに……」

「……梨子ちゃん、一体なにをしようとしたの? あ、ヤバい。なんか変な想像しちゃった」

「……? 変な想像?」

「いや、なんでもない。頼むから社長には言わないでね、本当になんでもないから」


よくわからないけど、ひとりであわあわする松丸くん。

彼はいつもこんな感じだけど、同期として彼の名誉にかけて言わせてもらえば、お仕事はまじめにするし話しやすくて本当にいいお友だちだと思う。


「朝からあの社長の視線に射殺されないようにって気張ってるから、頭がおかしくなったのかも。これだけ被害被ってるんだから、昨日何があったのか教えてくれる?」


そう言った松丸くんに渋々頷いた。

それから少し離れたところにあるラーメン屋さんを目指してふたりで歩く。
そしてわたしはぽつぽつと、昨日の出来事を話しはじめた。






社長は誕生日祝いなんていらないって言ったけど、わたしはこっそりケーキを予約してプレゼントも買った。

驚かせようと思って、ケーキとプレゼントを持って社長のお部屋をサプライズ訪問したの。


「えへへ、来ちゃいました」


驚いた顔で玄関のドアを開けた社長にわたしはそう言った。
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