絶対に好きじゃナイ!

それから驚く社長をよそにケーキにロウソクをたてて部屋を暗くした。


ここまではよかったの、完璧。


あとは社長がロウソクの火を吹き消して、わたしが用意したプレゼントを受け取って、喜んでくれればそれでサプライズ成功のはずだったのに。


それなのに社長ってば、

「誕生日祝いなんていいって言っただろ。お前がこんなことする必要ない」

そう言ってロウソクの火すら消してくれなかった。


「なんでそんなこと言うんですか……?」

「いや、だから。お前にこういうことされると、なんて言うか……」


顔をそらしたままで、ぶつぶつと呟く社長の横顔。

その表情がなんだか本当に嫌そうに見えて、わたしはじわじわと涙が浮かび上がるのがわかった。


わたしたち、付き合ってるよね?


恋人同士で誕生日を祝うのって、普通のことじゃないの?
それともわたしの勝手な思い込み?

社長なら絶対喜んでくれると思った。

いくらお祝いはしなくていいって言ったって、ケーキとプレゼントくらいなら受け取ってくれると思って一生懸命選んだのに。
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