絶対に好きじゃナイ!

「それにしても珍しいね、社長が梨子ちゃんにそんな態度とるなんてさ」


わたしはその言葉に小さく頷いて俯いた。


そう、わたしも正直驚いてどうしていいかわからなかった。

昔からずっとそう。
地元にいた頃から恋人同士になった今でも、8歳年上の社長にはいつでもわたしを包み込んでくれるような優しさがあった。

それを感じていたから、どんなに目つきの悪い社長を見ても怖いと思ったことは一度もなかったのに。


あんなふうに拒絶されて悲しかったし、一晩寝たらだんだん腹が立ってきた。


だって、ただ誕生日のお祝いをしたかっただけなんだもん!


「まあ、俺の身の安全のためにもなるべくはやく仲直りしてね。いつか噛みつかれそうで仕事どころじゃないよ……」


朝から社長がこちらをちらちら伺ってるのはわかってたけど、気づかないふりをした。

別に意識したつもりはないけど、今日は松丸くんと一緒の案件も多かったから。
彼はずっと、わたしと一緒に社長からの視線に晒されていることになる。


だけど社長との喧嘩なんて想像もしたことなかったから。

どんなふうに仲直りしたらいいのか、検討もつかないの。
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