絶対に好きじゃナイ!
会計を済ませて会社に戻る。
なるべく普通にしてるつもりでも、わたしたちのせいで明らかにオフィスはピリピリしてる。
あと半日あそこで仕事をするんだと思ったら、ため息を堪えられなかった。
「だけどそのうち社長から声かけてくるんじゃないかな? そんなに長い間梨子ちゃんのこと放っておける人じゃないと思うけどね」
オフィスに戻るエレベーターの中で、松丸くんはひたすら仲直りの方法についてしゃべってた。
どうやら相当はやくわたしたちに仲直りして欲しいみたい。
オフィスのある8階に到着すると、ふたりともなんとなく身構えてエレベーターからおりる。
「でもさ、俺ちょっと社長の気持ちもわかるよ。だってもし俺が30歳で、梨子ちゃんみたいに昔からよく知ってる可愛い年下の彼女もってたらさ……」
ぺらぺらと話しながらわたしのほうを見たまま、松丸くんがオフィスへのドアを押し開ける。
「そしたら絶対すげー可愛がるけど、でもやっぱりもっと若い男のほうがとか……」
「梨子」
「ひぃっ!」
ドアを開けたところで待ち構えるように立っていた社長に、松丸くんが情けない悲鳴を上げた。