絶対に好きじゃナイ!
「ちょっといいか」
変な声を出した松丸くんは完全無視のまま、社長がわたしを社長室の中へと誘う。
わたしはちょっと唇を尖らせた。
すごくズルいと思うんだけど、あの人が会社でわたしのことを"梨子"って呼んでるんだから。
相当切羽詰まってるんだってわかって、わたしにはそれを無視できるほどの意地はもう残されていなかった。
わたしが部屋に入ると、社長がバタンとドアを閉める。
社長と向き合ってその顔を見上げた。
「なにかプライベートなお話ですか、社長。お昼休憩の時間、もうすぐ終わりますよ」
わたしがツンとしてそう言うと社長が目に見えてしょぼんとする。
わたしは今にも社長のことを許しちゃいそうで、ぷいっと目を逸らした。
「……わるかった」
「……」
「……すみませんでした」