絶対に好きじゃナイ!

「俺だって少しは年の差を気にしたりする。だから今日みたいに歳の近い男と仲良くしてるとこ見るのは……、正直けっこー堪える」


うわぁ、もう。

社長ってばほんとにズルい。
一体どんな顔してこんなこと言ってるの?


塞がれた視界のせいで、社長の声だけが頭の中にこだまする。

だけど社長の顔が見えない今なら、わたしも少しは素直に言えるかもしれない。


「……プレゼント、見てくれました? 虎の刺繍がしてあって、すごく可愛くて。あのスタジャン見つけたとき、社長にぴったりだってすごく嬉しかったの」

「ああ、見たよ」

「じゃあ、ケーキは?」

「冷蔵庫にある。今日、一緒に食べてくれるか?」


わたしは小さく頷きながら手を伸ばして、社長のスーツをきゅっと握った。

相変わらず目を塞いだままだけど、社長が反対の手でわたしの髪をなでて、おでこに優しく唇を押しつけたのがわかる。


「8歳も年上の社長みたいな、か、彼氏もってるんですよ。わたしのほうが何倍も年の差気にしてます」


つり合ってないんじゃないかとか、いつまで経っても追いつけないと思わされるのはわたしのほう。
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