絶対に好きじゃナイ!
period6:すき
"すき"の二文字では伝えきれなくなってしまった想いを、どうやって伝えたらいいんだろう。
言葉にはできないこの気持ちは、どうやったらあなたに届くだろう。
毎日毎日膨れていく想いを伝えるには、わたしの言葉では拙すぎて。
わたしはまだ、大事なことをあなたにちゃんと伝えられずにいますーー
「だいぶ暖かくなりましたね」
春の夜風が頬をなでて、透き通るような爽やかな香りが街を渡り歩く。
残業をした平日の夜、もう外は暗いからって社長が家まで送ってくれる。
恋人同士になってもう半年近く経つけど、妹扱いが抜けないのか、社長が単に過保護な人なのか、遅くなった夜はいつもそう。
はじめの数回は遠慮したんだけど、
「半分はお前のためだが、半分は俺のためだ。俺の寿命を縮めたくなかったら好きにさせてくれ」
とのことで、わたしの家までふたりでのんびり帰るのはもう定番。