絶対に好きじゃナイ!

「だからってあんま薄着するなよ。風邪引くぞ」

「だ、大丈夫ですよ! 子どもじゃないんですから……」


わたしがぷりぷり怒って頬を膨らませると、社長が笑って繋いだ手をぐんっと引き寄せる。

よろけて触れる肩。

社長が少し屈んで、わたしの耳元に唇を寄せて言った。


「もうどんなにがんばったって、梨子を子どもとは思えねえよ」


すぐに襲ってやりたくなる、って。


なんだか危険な発言をして、わたしの鼓動をいとも簡単に操ってしまう。


「な、なな、なんてこと言うんですか! は、破廉恥ですよ!」

「自分の女襲ったところで破廉恥もなにもねーだろ」


く、くそーーー!
悔しい、悔しい、悔しい!

けらけら楽しそうに笑う社長をなんとかぎゃふんと言わせてやりたいのに、わたしはもうそれどころじゃない。


"自分の女"だって……

社長がこういうこと言う度に、わたしはもう妹みたいな存在でもなければ、ただの社員でもないんだって思わされちゃう。
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