絶対に好きじゃナイ!
社長と目があって、わたしを安心させるみたいに繋いだ手にぎゅっと力が込められた。
「あら、もしかして今の彼女さん?」
その様子を見て、沙織さんがあっけらかんと言う。
「ちょっと年が離れてるのね」
「まあな」
にこにこしたままの沙織さんは、嫌味で言ってるわけじゃないと思うけど。
やっぱり傍から見たら、そう思われるんだなって。
わたしはちょっと俯いてきゅっと口を閉じた。
「ねえ、せっかく会えたんだし、また今度連絡してよ。西城くんならいつでもいいわ。なんなら、その子の後でもかまわないし……」
「いや、悪いけど」
沙織さんの言葉に頭が真っ白になる前に、社長がその声を遮る。
困ったように笑った社長が、繋いだ手を少しだけ持ち上げて言った。
「こいつは、そういうのじゃねえんだ。よそ見して他の男に持ってかれたら困るから」
沙織さんが驚いたように目を丸くして、はじめてわたしをまっすぐに見た。
うっ……!
め、目ヂカラが……!
わたしはついその視線によろけそうになったけど、社長の手をぎゅっと握り返してなんとかその場に踏ん張って胸を張った。