絶対に好きじゃナイ!
社長が息を飲んで、その二文字がちゃんと届いたんだってわかった。
そしたらだんだん恥ずかしくなってきて、頬がぽかぽかと熱を上げる。
い、言っちゃった……
まあ、もういいんだけど。
こんなの、最初からわたしの惨敗だってわかってる。
はじめてキスをされたあの日、わたしはもう社長に捕まっていたの。
いつかこうなることは、ずっと前から決まってたんだって思うもん。
無言でぎゅーっとしがみつくわたしを、社長の両腕が恐る恐る包み込む。
まるで、はじめて抱きしめるみたいに。
「……もう降参」
わたしの心の中の声が、社長の言葉と重なった。
「俺も、すげー好き」
社長が背中を丸めてわたしを優しく包み込んで、低くて甘い声を耳元でそっと響かせてそう言った。