絶対に好きじゃナイ!
「ここの合鍵だ」
ぱちりと目を見開いたわたしに、社長がそう言う。
「わ、わたしがもらっていいの?」
「ああ」
「ほ、ほんとに……?」
だって、お部屋の鍵だよ?
いくら大抵の週末はここにお邪魔してるからって、合鍵なんて、簡単に渡していいものじゃないでしょ?
ぽかーんと見上げるわたしに、社長がなんだか困ったように笑う。
そして両腕を伸ばしてわたしの腰を引き寄せると、自分の隣に座らせてこつんとおでこを合わせて言った。
「ときどき、ここで俺の帰りを待って欲しい。梨子がいるこの部屋が、いちばん落ち着く場所だから」
そしてするりとベッドをおりて、わたしの前に跪く。
「その代わり、条件がある」
わたしをまっすぐ見上げた社長が、少しよれた白いシーツをわたしの身体にしっかりと巻きつけ直した。
白い衣装を身に纏うわたしの左手をそっと包み込んで、持ち上げる。
わたしの心臓はどきどきと音を立てて、社長の仕草をひとつも逃さないように瞬きも忘れて見つめていた。