絶対に好きじゃナイ!

「約束しろ」


社長がわたしの左手を引き寄せる。

薬指の付け根をぱくりと咥え込んで甘く歯を立て、優しいキスで魔法をかけた。



「ここは、いつか絶対、俺だけにくれてやるとこだって」



不良社長のくせに。

跪いて指先にキスをするその姿は、まるでお姫様に忠誠を誓う騎士のよう。


言葉は高慢なくせに、わたしだけを真摯に見つめるその瞳が。
ずっと側にいるって、そう約束してくれているみたいだった。



「そ、それって、ぷ、ぷ……」

「プロポーズじゃねえぞ。ただの予約だ」

「え、だけど……」


でもそれって、プロポーズにならないの?

プロポーズの予約って、結婚の約束の約束ってこと?


頭の上にはてなマークを浮かべて首を傾げるわたしに、社長がむっとした顔をする。


「もういい。そのときは腰が抜けるくらい盛大にしてやるから、今は返事はいらん」

「え? あ、でも、わたし……」
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