絶対に好きじゃナイ!
「キスなら、今俺が教えてやっただろ」
そうして慰めるように抱きしめた腕で優しく背中をなでる。
なんだかぞくぞくとして、肌が泡立っていくみたい。
「その先だって、お望みなら俺が教えてやるから」
だから、他の男に教わろうだなんて、もう絶対考えるなーー
耳元で甘く響かせた社長の声。
こんな声で囁くんだなんて、今まで知らなかった。
どうしよう、なんだかめまいがしてきちゃいそう……
「……うーん、親友と妹みたいに可愛がってた娘のラブシーンってのは、こっぱずかしくてあんまり楽しめないね」
社長のつくりだす甘ったるい雰囲気にぽーっとなっていたわたしは、要さんのその言葉で一気に現実に引き戻された。
危うく背中にまわしそうになっていた腕に力を込めて、社長の硬い胸を押し返す。