絶対に好きじゃナイ!
1.ファースト•キス闘争の記録
「あら、梨子ちゃん今日も合コン?」
仕事を片付けて、少し気合いを入れて更衣室で化粧を直した。
いつもよりおめかししたわたしにそう言ったのは、事務の梅村紫枝さん。
わたしの先輩で、綺麗なお姉さんって感じの気さくな人。
「はい!今日もいってきます!」
「ふふ、最近気合いが入ってるわね」
「そりゃそうですよ〜、わたしもう21歳なんですもん」
短大を卒業してここに入社して、もうすぐ冬がやってくる。
この秋で21歳になったわたしは、彼氏いない歴も21年。
キスもその先も、もちろん知らない。
だから最近思ったの。
受け身じゃダメなんだ、出会いは自分から探さなきゃダメなんだって。
「梨子ちゃん可愛いんだから、そんなに焦らなくても大丈夫なのに」
そう言う紫枝さんは社長と同い年なのに、年齢なんて関係ないくらいとっても綺麗なんだもん。
ちなみに社長の昔からの知り合いで、この会社を立ち上げるときに誘われて入社したって。
なんの知り合いかは、知らない。