絶対に好きじゃナイ!

それからわたしは自分に宣言した通り、きちんと仕事をこなしたと思う。

おかげで社長が攻撃を仕掛けてくることもなかった。




「松丸くん、今日みんなで鍋パーティーでもやらない?」

だいぶ寒くなったもの、って。

それぞれ仕事も片付けてぱらぱらと帰ろうかっていう頃、紫枝さんが言った。


「いいですね!鍋! 梨子ちゃんも一緒にやろうよ!」

「えっ、いいですね! わたしも行きたいです!」

「あら、梨子ちゃん珍しいわね。そういえば最近、合コンには行ってないみたいだものね」

「あー、はは。まあ……」


別に、社長の言ったことをちゃんと守ろうって思ったわけじゃないけど。
なんとなく、あの後は合コンも行きづらくて誘いも全部断ってる。

にやにやと笑った紫枝さんが社長に視線を送って、そのまま声をかけた。


「社長もご一緒にどうですか? 鍋」

てっきり断るかと思ったのに、社長は少し考える素振りを見せてから言った。

「鍋か……、いいな。俺も行く」
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