絶対に好きじゃナイ!

「……い、って言ったくせに」

「ん?」

「い、妹みたいって、言ったくせに! わたしのこと! それなのに、突然キスするなんて、そんなの……」


そんなの、ズルい。

唇を噛んで歩調を緩めたわたしに合わせて、社長がそっと足を止めた。


繋いだ手はそのままに、反対の手でわたしの頬を包んで親指が唇の上を滑っていく。
噛み締めた唇を、開かせる。


「そりゃお前、さすがに小学生に手ぇ出すわけにはいかねえだろ」


見上げた先で、呆れたような顔をした社長が眉を下げて笑った。


「俺はお前と、ガキみてえな恋愛ごっこがしたいわけじゃねえからな」


そしてそのまま柔らかく顎を持ち上げた。

ああ、どうしてわたしは抵抗できないんだろう。
もう社長とはこういうことはしないって、決めてるはずなのに。

頭ではわかっていても、わたしの身体は勝手に社長を求めてる。



頭と身体が正反対で、

心はどっちを選ぶんだろうーー
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