絶対に好きじゃナイ!
「しゃ、ちょ……」
「バカ。こういうときくらい、名前で呼べよ」
唇の上でそう囁いて、叱るように甘く下唇を食む。
ああ、もう大変だ。
全身の血が逆流して遂に頭がふらふらしてきてるんだと思う。
さっきからめまいが止まらないの。
そう、だからわたしが抵抗できないのは仕方のないことでしょ?
「虎鉄」
久しぶりに呼んだ、その名前。
音になった瞬間にふたりの唇に触れて溶けてしまったけど。
凍てついた心の奥で、柔らかな蕾がもう一度花を開こうとしている。
今度は前よりも、もっと強く。
とにかく3回目のキスでは、ちゃんと上手に目を閉じることができた。
この人のことは絶対に好きじゃナイって、そう思ってるんだけど……
わたしと社長の恋愛闘争。
ここ最近は少し、甘すぎる攻撃を防ぎきれなくて押され気味の模様です。