絶対に好きじゃナイ!
3.独占欲に関する闘争の記録
この頃よく、夢を見る。
胸の奥に押し込めていた、あの頃の虎鉄の夢を。
失いたくなくて、わたしだけのものにしたくて。
そのままで心の中に閉じ込めた虎鉄がぽつぽつと顔を出しては、わたしの中にいちいち何かを植え付けて行く。
あたたかくて、少し厄介なもの。
自分の中だけで大事に大事にしたくて、だけどどの虎鉄もわたしのものだって言ってみたくなっちゃう。
この気持ちを何というのか、わたしはまだ知らないーー
「こてつ!」
ああ、たぶんこれは、わたしが小学校低学年の頃だと思う。
まだ新しい高校の制服を着た社長と要さんがわたしを見下ろしていた。
「お? どーした、梨子嬢」
「こてつとかなめ、また悪いことしたでしょ! せんせーが言ってた!」
「先生? お前のか?」
「うん!」
元気よく頷いてみせたわたしに、社長が渋い顔をする。