絶対に好きじゃナイ!
『俺から向こうに電話かけてみるから、そこで少し待ってろ』
社長の言葉に返事をしたわたしの声は、今にも消えてしまいそうな弱々しいものだった。
そのまま待合室には戻りたくなくて、その場に突っ立ったままで事務所からの連絡を待った。
どうなるんだろう……
まさか、この話ごとなしになったりはしないよね?
この新店舗はsoirにとっても重要な意味を持つから、社長さんが自分でしっかり確認しながら進めたいって。
だから資料もちゃんと自分で受け取りたいって言ってたんだけど……
だけど、soirの社長さんってとても忙しい人だから次に時間がもらえるのはいつになるんだろう。
みんなが一生懸命つくった設計図を、ちゃんとわたしの手で届けたかった。
ちゃんと、社長さん自身にしっかり説明してみせたかったのに……
しばらくして、事務所から折り返しの電話がかかって来た。
今回の約束はナシになって、後日改めて連絡するって。
『そういうことだから、お前もとりあえず戻って来い。そしたら今日はもう帰っていいから』