絶対に好きじゃナイ!

もともとこの後は直帰の予定だったから。
そう言われるのは普通のことなのに、その言葉がすごく悲しかった。


「……わかりました」

『悪かったな。俺の車で行くことにしておけばよかった』

「いえ、社長のせいじゃないですから」


そう、誰のせいでもない。
受け渡しが少し遅くなっただけだし。
また会ってくれるってことじゃん。


そう思うのに、気分はどんどん沈んでいくばかり。



駅を出たとき、外は雨だった。

空からたくさん雫が降ってくるから、駅を出たわたしは遂に足を止めた。

事務所に戻ろうって思うのに、力が抜けてなかなか歩き出せない。


戻っても、今日はもうわたしにすることはないし。


資料が濡れてしまわないように、カーディガンの中でしっかりと抱え込む。




たくさんの涙を零す灰色の空を見上げて、なんだか悲しくなる。

頬に伝わる雫に隠れて、少しだけ泣いた。
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