絶対に好きじゃナイ!
雨がわたしの意地っ張りを溶かしちゃったみたい。
わたしはその手に引き寄せられて、心の思うままに手を伸ばした。
右手が少し触れたとき、わたしが握る前にぎゅっとその手を捕まえられる。
あーあ、なんだか中学生みたい。
手を繋いで歩くだけで、こんなにどきどきするなんて。
まあ、中学生の頃こんなふうに手を繋ぐ相手なんていなかったけどね。
きゅんと音をたてる胸を隠すように、そんなことを考えてみた。
だけど無言でわたしの手を引く社長の背中が、とんでもなくかっこよく見えちゃうの。
悔しいなあ……
悔しいけど、もう誤魔化せないかも。
社長はわたしのはじめてのキスを奪っていって、そして今、もうひとつ"はじめて"を奪おうとしてる。
はじめて知った、この気持ち。
きゅうっと胸を締め付けるこの気持ちを恋と呼ぶなら、もしかしたらわたし、もう社長のことをーー
ファースト・キスを奪われたあの日から、激化していくわたしたちの恋愛闘争。
社長の繰り出す攻撃は甘くて優しくてときどき意地悪にわたしを翻弄する。
この戦い、そろそろ降参気味かもしれないです。