絶対に好きじゃナイ!
4.ココロうらはら闘争の記録
社長に手を引かれてたどり着いた先は、なんとはじめて来る社長のお部屋だった。
「お、おじゃまします……」
社長は片手で器用にドアの鍵を開けて、玄関に入っても手を離そうとしない。
わたしが靴を脱ぐと繋いだ手をそのままに、リビングにあるソファまで連れて行った。
そしてソファにわたしを座らせると、繋いだままの右手を持ち上げて指先に優しくキスを落とした。
雨で冷えていた身体が、ぽかぽかと熱を上げる。
ふ、不良社長のくせに!
その姿はまるでお姫様をエスコートする騎士みたい。
そんな社長もとびきりかっこよく見えちゃうからほんとに困る。
「待ってろ、今タオルと着替えを持って来る。シャワーは使うか?」
その言葉にわたしはぶんぶんと首を横に振った。
だって、男の人の部屋に来たのもはじめてなのに、シャワーなんて借りたらさすがに心臓が破裂すると思う。