絶対に好きじゃナイ!

「あ、あの、ごめんなさい……」


何を言ったらいいのかわからなかったけど、とにかく謝ろうと思った。

せっかく任せてくれたお仕事だったのに、ちゃんとできなかったから。
それなのにのこのこと部屋までついて来て、こんなにお世話してもらっちゃって……


「何を謝ってんだ?」


わたしを見つめる社長が、薄茶色の瞳を緩めて呆れたように笑った。


「だって、きっともっと他に方法があったはずだから……」

「電車が遅れたのはお前のせいじゃねえだろ。俺が電車で行けって言ったんだ。それがたまたま遅れただけだ」

「だけど、社長……」


そんなこと言ったって、社長だって残念に思ってるでしょ?
みんなのがんばりを、ちゃんと届けたかったのに。



「……たとえ慰めるためだとしても、俺は自分の会社の社員を部屋に連れ込んだりしねえぞ」

「え?」


俯けていた顔を上げると、ちょっと拗ねたような顔をした社長と目が合った。

この顔、あれだ。
要さんにからかわれて拗ねたときの虎鉄の顔と一緒だ。
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