絶対に好きじゃナイ!
「"社長"って言うな。敬語も遣うな。やっと手ぇ出せるようになったのに、離れていこうとするな」
そう言った社長の端正な顔が近づいてきて、ソファが少しだけ音をたてた。
ずっと待ってたんだからって、社長が小さく呟く。
「梨子。俺はお前だから、ここへ連れてきたんだよ」
その言葉を染み込ませるように、社長の形のいい唇がわたしの唇を塞ぐ。
優しく触れるキスは、わたしの吐き出す甘い吐息に煽られたように少しずつ深くなっていく。
キスをするとき目を閉じるのも、上手く息継ぎをするのも。
全部、社長のキスが教えてくれた。
ソファが大きな音を鳴らして、社長の腕にぎゅっと抱きしめられる。
優しい腕の中に囲われて、わたしの身体はもうへなへな。
「参ったな」
社長が小さくそう言ったけど、それはわたしの台詞だと思う。
力の抜けた身体は社長の思うまま。
優しく倒されて、柔らかなソファに背中が沈み込む。
「想像してた以上に可愛い」