ショコラノアール~運命の恋~
予感とかそう言うのって、

会った時から感じるものだとよく人は言うけど、

勘違いとか思いあがりとかそういう類いの話だと思ってたから、

まさか私がそうなるなんて夢にも思っていなかった。


あ姉ちゃんが、何度も恋して気持ちを上げたり下げたりして、

その度、今度こそ思い違いのではありませんようにとひそかに思って念じていたけど、

結局成就することはなくて、

結局、義兄さんのゴロちゃんに決めた時には、

『結局、恋愛なんて大事なものを手に入れるための

諦めるための口実をみつけるためにするものよ』


そう言っていたのを覚えている。


そんなお姉ちゃんを笑って見守っているゴロちゃんは、

太っ腹な人だと感心するとともに、

諦めて手に入る幸せなんて大丈夫なのかと子ども心に心配したけど、

でも本当は昔っからゴロちゃんのこと好きだった。


初恋だったんだと思う。


諦めとかじゃないはずなのに照れ隠でそう言っていたのだ。


仲直りをしたと報告していた時のさっきの顔を見れば、

結局愛してんじゃんと、突っ込みたくもなる。


「よし、できた」


スケッチブックに書きあげたケーキの設計図は、

ブラウニーとムースとラングドシャクッキーを組み合わせたミルフィーユだ。


丸く焼き上げたものをクリームとムースではさんで積み上げていく

最後に薄くデザインしたコーティングチョコで飾る。


明日さっそく店長に見せて、厨房を借りて作らせてもらおう。







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