ショコラノアール~運命の恋~
「宮ちゃ~ん来てたんだあ。」


カラカラっとと引き戸を開けて入ってきたのは、

ノムさん、こと野村八起(やおき)さん。


『結婚なんて』が口癖の常連。


女の人にひどい目にあわされて、

一生独りと決めているようだ。


この人飲むとすぐ俺に絡む。


まさかそっちの気があるんじゃないかとちょっと苦手。



「お、俺帰ります!」


「え、?って親子どんできたよ」


「あ、そうでした」


半分持ち上げていた腰をもう一度戻した。


「宮ちゃん大丈夫だよ、あの人最近荒んでないから、

 絡まれたりしないよ」


「へ?」


「なんか可愛い女の子と一緒に住んでるらしいよ」


「ど、どういうことですか?」


「まあ、落ち着いたってことじゃないの?」


そうか、自意識過剰だったのか、

というか、

そっちの気は無いってことか。



「宮ちゃん、俺ね~結婚するんだよ」


「は?」


「それがさ~、いいんだよ。



家に人が待ってるって

なんて言うの、

懐に焼き芋抱えてるみたいな、

そう言う感じ。



やあ、宮さんには分かんないだろうな?


あ、軽くのろけちゃった?

ごめんごめん。


あれ?こんなとこで油売ってる間は無いんだよな。


あ、楡崎さんごめん俺帰るわ~」




















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