ショコラノアール~運命の恋~
夢中で作り上げたケーキのレシピ
宮君のイメージで作った。
今度こそ、思った通りの作品になるといいな。
それでもって今度こそ食べてもらう。
ついついここに足が向いてしまうのは、
なんだかここに来ると、宮君に会える気がして。
私たちは名前しか知らなくて、
彼がお店に来るか、偶然会うしか方法がないから。
ガサッ!
「え?」
足元から何かの気配が、
まさか?
怖くて足元を見る事ができない。
まさか人じゃあないでしょうね?
ないない、
だとすると動物?
ね、猫かなんか?
ひやひやしながら、そうっと目を開ける。
シン・…
なんだ気のせいか、
ホッと胸をなでおろして、
立ち上がる。
その刹那、
ばさささっ
「ガァァッツ」
「きゃっ」黒い塊が転がり出てきた。
カラスだ
「ぎゃあぎゃあぎゃあっ」
まるで何かを訴えているような声、
よく見ると羽に針金の様なものが刺さっていて、
その先は木の枝にかかっていた、
偶然なのか、罠にでもかかって逃げて来たのかは分からないけど、
とにかくはずしてあげないと針金が食い込んでしまう。